第2回ときんの会親子将棋合宿 「年中さん」

私は、棋王クラス(8級〜15級)の手合い係を担当した。
クラス10名。みんな、ちびっ子ばかりだ。
その中でもひときわ小さい大会最年少の幼稚園・年中さんが一人いた。
彼はみんなと級位が離れた15級だったので、駒落ちで対局してもらったのだが、、


 「負けました」
  :
 「負けました・・」


彼はなかなか勝てない。


私は手合い係という中立の立場なのだが、一度でいいからこの子に勝って欲しいと思った。
しかし、


 「また負けた・・・」
  :
 「なんで勝てないのかなぁ・・・」


もう5、6連敗している。。
首をかしげ、駒を並べながらも泣き出しそうだった。


私もなんとか元気づけたいと思い、


 「まだ年中さんなんだからしょうがないよ!小学生になったら君が一番強くなる!」


と必死に訴えたが、私の無力さというか、なんの励ましになっていないようだった。


   :
これ以上負けない方法が一つあった。
泣いてお母さんに抱きつけばいい。大会を途中でやめればもう負けは続かない。


しかし、彼は最後の最後まで戦いきった。 9戦全敗だった。




表彰式では、年中さんにも関わらず最後まであきらめずに対局した彼に、
負けても負けても戦い続けた彼に「敢闘賞」のメダルが渡された。


大会審判長の飯島篤也先生は第1回の合宿から一貫して「最後まであきらめない」
という大事なメッセージを子ども達に伝えているが、彼が見事に応えてくれた。


「敢闘賞」のメダルを授与され、とても誇らしげにメダルを片手で高くあげて、
飯島篤也先生にひょいと抱えられてうれしそうに記念撮影に収まる彼を見て、
私はこの合宿に参加して本当によかったと心から思った。


(※記憶違いがあったらごめんなさい。)